2025年10月6日(月)
この日は、函南町役場二階大会議室にて「第3回 県立高等学校の在り方に係る地域協議会(田方地区)」に出席しました。
県教育委員会からは教育長、教育部長、教育監をはじめ関係職員が出席し、地域からは自治体関係者、高校の校長・教職員、PTA代表、産業団体、商工関係者など、多くの皆さまが参加されました。
それぞれの立場から、地域の将来と高校教育の在り方について活発な意見交換が行われました。
この協議会は、急速な少子化や社会の変化を踏まえ、これからの高校教育を地域とともにどうつくっていくかを話し合う場として開催されています。
今回のテーマは「地方高校の存在意義」と「地域の将来像と高校の関係」の二つでしたが、実際の議論はその論点から少しずれてしまい、現状の課題や不満の共有に終始してしまった印象を受けました。
本来であれば、「私たちはどのような子どもたちのために、何ができるのか」という視点で建設的な議論を深めるべき場だったと思います。
それぞれが自分の持ち場で何ができるかという前向きな話よりも、他の立場の課題を指摘する場面が多く見られ、少し残念に感じました。
立場を越えて力を合わせ、子どもたちの未来をどう支えていくかを語り合う——その原点を改めて意識する必要があると感じました。
会議の中では、「とんがった(何かに秀でた優秀な)子どもを育てる」という言葉も何度か聞かれました。
しかし私は、とんがった子どもを育てるのは、同じ感性を持つ“とんがった指導者”か、よほどの才能を持った指導者でなければできないと思います。
そして、指導できない大人は子どもの成長を邪魔してはいけない。
とんがった才能を発揮できる子どもはほんの一握りであり、そうした子どもたちは多くの場合、地元には残りません。
だからこそ、「とんがった子どもが地元に定着できる魅力ある環境を整えること」に力を注ぐことが大切だと感じます。
また、とんがった才能を伸ばし優れた子どもを育成できることも重要ですが、それ以上に「地元に残りたくなる環境」をつくること、そして、普通のことが難しい子どもたちや、さまざまな背景をもつ子どもたちをどう支え、社会の中で自立できるよう育てていくか。それを考えることこそ、地域で集まった大人の使命であり、教育を語る上で欠かせない視点だと思います。
さらに、企業側の立場から見ても、優秀な人材を採用することは最も重要な課題のひとつです。
地方の企業であれば、教育のあり方に意見を述べることも大切ですが、教育がすぐに変わるわけではありません。
であれば、新卒者が「今の教育では教えていないこと」「これまで教わってこられなかったこと」を、企業自身が一から教える覚悟も必要だと感じます。
人材育成は学校だけでなく、地域全体で担うべきものであり、子どもたちの未来を支える“共育”の意識が求められています。
また、県教育行政も民間から学ぶ姿勢をもっと持つべきだと感じます。
企業は常に変化に対応し、課題を自ら見つけ、スピード感を持って改善を重ねています。
その背景には、倒産と隣り合わせの緊張感の中で生き抜く現場の覚悟があります。
そうした真剣さや柔軟さ、現実に根ざした発想は、教育の世界にも必要です。
教育の魅力づくりを他力本願にしてはいけないとも感じます。
私立・公立という区別ではなく、学校を経営する立場の責任として、自らの教育の魅力をどう発信し、どう創出していくかが問われています。
子どもの数が減少する中で、学校もまた、子どもたちや保護者から「選ばれる存在」にならなければなりません。
同窓会や地域の中にも、学校を支えられる力を持った方は数多くいるはずです。
そうした方々と連携し、地域に開かれた学校づくりを進めていくことが、これからの時代に求められる教育の形ではないでしょうか。
学校のように「卒業させたらそれまで」という関係だとは言いません。
多くの先生方は、子どもたちのその後の人生を思いながら、日々懸命に指導されています。
ただ、教育の仕組み上どうしても「在学中の指導」で区切られてしまう側面があるのも現実です。
一方で企業は、入社後も一人ひとりの成長に責任を持ち、成果を出せるよう育て続けていかなければなりません。
だからこそ、教育の現場にも「社会に出てからどう生きていくか」という視点をもっと意識することが大切だと感じます。
県教育行政の取組を見ていると、制度や仕組みの中で動くことが目的化しており、「子どもたちのために今できること」を考える柔軟な視点が十分に活かされていないようにも感じます。
民間や地域の知恵を積極的に取り入れ、現場の声にもっと耳を傾ける。
そうした姿勢こそ、これからの教育に求められるものだと思います。
こうした多様な立場の方々をつなぎ、意見を整理して形にするのが、私は我々「議員」の役割だと思います。
しかし今回、県議は一般参加という扱いで、名簿にもオブザーバーとしての記載はありませんでした。
議員をオブザーバーとしてすら参加させないのも、今の県教育行政らしい姿だと感じます。
教育行政の独立性を尊重する一方で、現場と政策の間に壁をつくってしまっては、真の「協働」にはなりません。
子どもたちを育てる主役は、何よりも現場で関わる本委員の皆さまです。
議員はあくまでその橋渡し役であり、立場をわきまえ、決して出過ぎてはいけません。
しかし同時に、地域や学校、行政の声をつなぎ、課題を見える形にしていくことは、私たち議員にしかできない役割でもあります。
それぞれの立場を尊重しながら、子どもたちのためにより良い教育環境をつくるための協働が必要だと強く感じました。
少し生意気なことを申し上げましたが、
子どもたちの未来を思う気持ちから出た言葉としてご容赦ください。
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