2025年1月14日(火)-16(木)
2泊3日に渡って静岡県議会常任委員会県外視察が実施されました。
今年度私が所属する常任委員会は産業委員会で所管は経済産業部と企業局となります。
産業委員会では農林水産業や商工業を盛んにしたり、働く人たちを支援する行政の仕事について重要事項の審査や調査を行って、政策の提言などの活動をしています。
他にも、今回のような各地の視察・調査があり、好事例を学び県政へと反映させる仕事があります。
常任委員会の視察は毎年、県内と県外のそれぞれ一回ずつ実施されますが、今回の県外視察は福岡県と鹿児島県でした。
(1日目)
『公益財団法人水素エネルギー製品研究試験センター』
福岡県糸島市に在る「公益財団法人水素エネルギー製品研究試験センター」では水素エネルギーに関連する技術の研究や製品の試験、認証を行っています。
このセンターの目的は、水素をエネルギー源として利用するための技術開発をサポートし、安全性の確保や性能の向上を目指しています。
具体的には、水素エネルギーに関する研究開発、水素の製造、貯蔵、輸送、利用技術に関する研究を行い、技術革新を推進しています。
水素エネルギーはCO₂を排出しないクリーンエネルギーとして、発電・輸送・産業など幅広い分野で活用が期待されています。
課題はあるものの、技術革新とインフラ整備が進めば、化石燃料に代わる次世代エネルギーとなる可能性の高さを学びました。
(2日目)
『福岡食肉市場株式会社』
福岡県内の食肉流通の中心的な役割を果たしている会社で、九州地方でも最大規模の食肉市場の一つです。
畜産業が盛んな九州の中で、多くのブランド牛・豚・鶏が取り扱われており、九州各地のブランド和牛(佐賀牛、宮崎牛、鹿児島黒牛など)や、地元福岡産の牛・豚・鶏を取り扱い、高品質な食肉の供給拠点として評価されています。
市場内の衛生管理は非常に厳格で、HACCP(危害分析重要管理点)に基づいた管理体制が整っており、安心・安全な食肉を提供するための徹底した管理が行われていました。
市場では公開競り(セリ)が行われ、食肉の価格が公正に決定されますが、この透明性の高さが、信頼性のある取引を生み出し、多くの生産者や購入者から選ばれているそうです。
また、地域からの理解を深めるため、一般消費者向けのイベントや直売会が開かれることもあり、新鮮な食肉を手頃な価格で購入できる機会もあるとのことでした。
福岡食肉市場は、単なる卸売市場ではなく、地域の食文化を支え、安全で高品質な食肉を提供する重要な拠点となっていました。
静岡県では2026年に菊川市に食肉センターを新たに開設する予定なので、こちらの取り組みを少しでも多く採り入れていただきたいです。
『エンジニアカフェ』
福岡市が運営するエンジニア向けの交流・学習スペースで、福岡市中央区天神にある歴史的建造物「赤煉瓦文化館」内にあります。
エンジニアカフェは、福岡市がエンジニアやクリエイターの支援を目的に運営している施設で、行政がこうした技術者向けの交流拠点を提供するのは珍しく、福岡市のITスタートアップ支援の一環として注目されています。
施設内は、エンジニアやプログラマーなら、カフェスペースやWi-Fi、電源を無料で利用が可能でコワーキングスペースのように作業ができ、学習や交流の場として最適な環境が整っていました。
他にもプログラミング、AI、IoT、ブロックチェーン、デザインなど、幅広い分野の勉強会・セミナーが開催されており、初心者から上級者まで学べる機会が豊富です。
また、エンジニア経験者のスタッフや技術アドバイザーがいて、プログラミングや開発の相談が可能で技術的な悩みを気軽に相談できるのは大きなメリットとなっています。
エンジニア同士の交流の場としても活用されており、新しい仲間やプロジェクトのパートナーと出会うチャンスが多いとのことで福岡のIT業界のハブ的な役割を担っています。
(3日目)
『有限会社西製茶工場』
管理する茶畑のほとんどを無農薬・無化学肥料で栽培しており、環境にやさしく、安全で高品質なお茶を生産するための徹底したこだわりは世界的に評価されています。
有機JAS認定を取得し、国内外で信頼される有機茶を製造。厳しい基準をクリアした、安心・安全なお茶を提供しています。
圃場のある鹿児島県霧島市は昼夜の寒暖差が大きく、茶葉がゆっくりと育つことで旨みと甘みのあるお茶が生まれるそうで、この恵まれた環境を活かし、高品質な抹茶・玉露・煎茶を生産しています。
特に抹茶と玉露は高評価を得ており、濃厚な旨みと香りが特徴。世界中の茶愛好家から支持されています。
また、若手の育成や技術継承を重視し、茶業の未来を支える活動も積極的に行っていました。
他にも「お茶を通じて多くの人とつながりたい」という思いで、東京都や大阪府に直営の抹茶カフェを4店舗開設し、そのカフェの売り上げだけでも年間10億円を超え、今では海外に30のFC店舗があるとのことでした。
この度の視察先は、どの施設や企業も今の時代に選ばれているとことばかりでしたが、当時は誰もが笑う取り組みでも自信をもって取り組み続けた結果、誰も追いつけない成果をあげている。そんな経営や運営を担う優れたリーダーの存在が印象的でした。
時代や物事が変わる時にはその時の非常識の中に機会が眠っているのかもしれません。
前に進まなくなった時、停滞した時には、この視察で出会えた皆様のような視野や考え方を大切にしていきたいと思いました。



