平成29年・30年九州北部豪雨災害視察研修

2024年10月8日(火)ー9日(水)

治山砂防事業推進議員連盟にて福岡県朝倉郡東峰村の視察に行ってきました。

平成29年7月に発生した豪雨災害により、福岡県で42名の死者・行方不明者、また建物被害は1000件以上と甚大な被害に見舞われた東峰村は特に甚大な被害を受けた地域で、この辛い経験を教訓、また風化させてはいけないための取組として「東峰村災害伝承館」を開設されている。

当時の村長である澁谷博昭氏より、当時のお話を伺った。

災害当日、午前中には全く想像し得なかったほどの大雨が降り始め、お昼過ぎには大雨洪水警報が発令されると同時に災害警戒本部を設置。

防災無線で注意喚起を促し、避難を開始したが、川の氾濫、国道への土砂流入、各地で山腹崩壊によって土石流が発生した。

土石流は、斜面崩壊により土砂とともに多量の樹木が流木となって流出し、下流へ流下したため狭い橋脚間や河道部に詰まって土石流や洪水の氾濫を悪化させ、さらに甚大な損害となった。

この災害の経験から、林道の排水について、谷に向かって水を流すなど、林道は治山の観点を入れてルートを取ることが重要であり、通常林道設計は一般道路より簡易だが、土砂災害などから命を守るという意味で砂防と同じように林道のルートはしっかり取らないといけないということだった。

また、このような緊急時だからこそ、地域のコミュニティ力の重要性を痛感したとのことだった。

復旧において、道路啓開も重要で、緊急車両等の通行のため、早急に最低限の瓦礫処理を行い、簡易な段差修正等により救援ルートを開け、道路を直せば作業車が通り、早く治すことができたということだった。

福岡県内で一番大きな砂防堰堤を視ることができたが、事業費は約4億円。当時はJR日田彦山線が走っていたが、線路の復旧ができないため、BRTとし、バス専用道路を設置。当初、地域の声は鉄道の復旧を望んだが、電車よりも停車駅を3倍増やし、利便性を向上させた。現在はディーゼルだけでなく、電気や水素などCO2削減などにも配慮して運航しているということだった。

また、.砂防堰堤以外のやり方で、川を塞いだ木を防ぐ方法として

スリットダムというやり方があり、通水部にくし(櫛)状のスリットや、鋼管の格子状構造物を設けたものにより、土砂は流れるが流木は堰き止めることができ植林が多い地域にはこれが必要だということだった。

この地域の課題としてはインフラは整備されつつあるが、災害をきっかけに出ていった村民が戻ってこないということで、安全の担保の他にも村そのものの魅力を発信していく事だということでした。

静岡県内には山が高く、川が短く、台風や線状降水帯との豪雨時には同様の被害が予想される地域も多くあります。この視察で学んだことを県政に反映させ、県民の安全安心に繋げていきます。