観光産業議員連盟県内視察

2024年9月5日(木)から6日(金)

視察①松原公園津波避難複合施設

「Terrasse Orange toi (テラッセオレンジトイ)」

所在地:伊豆市土肥2657-6

平成28年に伊豆市津波防災地域づくり推進協議会を設立しワークショップや市民集会など協議を重ねて、観光・環境・防災のバランスがとれた「海と共に生きる」観光防災まちづくりに取り組んでいた

平成30年には土肥地区が全国初の津波災害特別警戒区域(オレンジゾーン)の指定を受け、これを契機に、松原公園周辺エリアに本施設整備を計画し、災害時には地域住民や観光客の安全安心を確保するための避難施設とし、平時は地域交流や観光振興を図る拠点施設として「防災」と「観光」の機能を兼ね備えた全国初の津波避難複合施設「テラッセオレンジトイ」が完成。

構造等:鉄骨造、地上4階建て(地上18.8m)

    避難スペースは3階以上(海抜14m以上)

    ※津波浸水想定高10m+余裕高4m

機能等:避難面積約600m

    想定避難者数約1,200人

    物販・飲食スペース

    災害時は一時避難スペース、

    防災備蓄庫等で活用し、平常時は

    地域交流の場、農林水産物等の物販、

    飲食の提供、観光、情報等の配信

    に活用

事業費:約12億8百円

事業期間:令和元年度〜令和6年度

施設運営:株式会社土肥ノベーション

     (指定管理者)

視察②(株)BASE TRES

所在地:松崎町松崎379-2

平成29年4月に会社設立し、西伊豆の荒廃した古道を自らの手で再生し、マウンテンバイクで山を案内するガイドツアーを開催している。また、海がメインの観光である西伊豆エリアに新たな山のアクティビティを提供している。環境省グッドライフアワード2022特別賞を受賞したほか、世界的ファッションメディア「Vogue」、ドイツの観光情報サイト「trpstr」にも取り上げられる。伊豆半島にある山と海の自然環境を循環させながら、アクティビティや宿泊体験を提供するサスティナブルツーリズムを体現する事業を展開。観光事業を実施しながら環境保全へと還元していく仕組みをつくり、持続可能でありながら成長を続けられる観光サービスを提供していることが評価され「令和4年度 静岡県SDGsビジネスアワード」を受賞した。

視察③JU-ZA CYCLE YADO 南伊豆

所在地:南伊豆町子浦1669

2021年11月にオープン。自転車を安全に保管しながら宿泊したいサイクリストと過疎化が進む南伊豆町両者の問題解決を図るべく、元民宿をリノベーションし、サイクルピットなどサイクリングに必要な機能を完備し、サイクリストに特化した休憩・宿泊施設。「分散型ホテル」というコンセプトのもと、町内の温泉施設や店舗の利用推奨、地場産の食材を用いた朝食スープ企画など、地域還元を盛り込んだ新しい宿のあり方を提案。施設整備にあたっては、南伊豆町商工会「伴走型小規模事業者支援推進事業」を活用。

視察④EAST DOCK

所在地:東伊豆町稲取895

2016年に東伊豆町稲取へ移住。同町の地域おこし協力隊を経て、リノベーション物件運営を通したまちづくりに携わっている。このEAST DOCKは1〜3月の運行期間以外機能しないため空き家同然になっていた東海汽船稲取港のチケットカウンター・事務所を、元の機能を残しつつ、シェアオフィス&宿泊施設へと改修。令和元年にオープン。ワーケーションの推進に取り組んでいる。

視察⑤地元関係者との情報交換会

主たる産業が観光業である伊豆地域だが、半島の南部地域は道路網の未発達によって厳しいのが現状。これは平成後期の時代から変わっていない。今年の8月8日に発表された「南海トラフ地震臨時情報」や8月9日に神奈川県西部で発生した地震、加えて台風の影響もあり、苦戦する観光業の現状聞くことができた。会場となった「ベイステージ下田」は道の駅「開国下田みなと」内にある下田の情報発信・観光拠点であり、地場産品を揃えた海の交流館やお食事処、観光案内所がある。南伊豆のゲートウェイとしての役割を担っている場所での話し合いは、予定時間の60分をオーバーし白熱した。下田市は熱海市や伊東市に比べるとインバウンドに弱い傾向にあり、電車の終着駅であることからその後の二次交通の手配がポイントになること。今年が開港170周年であり、歴史的に有利な点を押し出していきたいこと。また、港湾整備は継続的にお願いしたいことや、屋根付きのイベント会場の必要性を強調する要望があった。2019年と比べて2024年は客数が50%減少していることも伝えられ、ポテンシャルの高さは感じているだけに、県には賀茂全体の底上げをお願いしたいという要望があった。県庁内では「観光」は、文化・スポーツと同じカテゴリーで扱われるが、産業としての位置づけをお願いしたいことや、新たな観光のカタチとしては、防災や医療、環境美化とも結びつけて、下田のブランド化を目指したい点が話された。ハイシーズンのみならず通年で観光客を呼び込む手法を官民連携して協力し、廃墟ホテルを市が買い取って防災拠点にする計画があることや、その場所が開国の舞台となったペリーロード近くであることから、観光と防災を連携させる事例にしたことが述べられ、法的にも金銭的にも県の援助をお願いしたいとの要望ががあった。距離的に遠いイメージを克服するための取組みを問われた時には、まずは伊豆縦貫自動車道路の早期開通が肝心で、駿河湾フェリーの発着場所を土肥だけでなく、田子(西伊豆町)や松崎も追加してもらうことで、伊豆南部地域の魅力を伝えたいという要望があった。