2024年7月25日(木)
この日は、私も含む静岡県議会産業員会に所属する議員の皆さんの10名での県内視察(2日目)が行われました。
朝から沼津市戸田にある「戸田地区センター」に移動し、戸田の漁業と海業推進に関する事業概要の説明を受けました。
日本トップのまき網事業者の基地綱として有名な戸田港がある戸田地区では、一部の水揚げ物は漁協が漁船から直接買い取り、戸田地区センターのすぐ近くに在る2024年5月にオープンした漁協直営の直売所「へだのすけ市場」にて深海魚を中心として地元水産物等を販売していました。
出荷は周辺の魚市場への水揚げや陸送で対応しており、近隣市町では戸田の美味しい魚を食べることができます。
このへだのすけ市場の看板がかわいい。それもそのはず。一時期は社会現象になるほど爆発的な人気を誇った「だんご3兄弟」の作詞・プロデュースを手がけたクリエイティブディレクターの佐藤雅彦さん監修によるもの。佐藤雅彦さんは戸田出身だそうです。
海業推進に関する課題として、民間事業者の力を積極的に活用・スモールスケールでの挑戦・海業への支援体制・水産事業者全体での海業チャレンジが必要だということでした。
〇西伊豆町の海業振興に関する取り組み
戸田地区センターでは、西伊豆町役場の職員さんが西伊豆町より駆けつけてくださり、民間企業の力を活用した海業への取り組みについてお話しいただけました。
西伊豆町では、平成30年に直売所「はんばた市場」の構想段階から現在までの取り組みやブダイヤウツボといった未利用魚活用の取り組み、「ツッテ(釣って)西伊豆」の取り組みを聴くことができました。
特にツッテ西伊豆は、一般の方が釣った魚をはんばた市場で地域共通通貨「サンセットコイン」と交換して西伊豆に在るサンセットコイン加盟店にて食べる・泊まる・買うが楽しめ、参加した子どもから大人までが釣りをリアルなゲーム感覚で楽しめ、釣った魚を〆る食育体験、釣った魚を売る漁師の疑似体験、釣った魚を飲食店に持ち込んで食べる喜びといった素晴らしい仕組みには大変感銘を受けました。
西伊豆町のこのような釣り人関係人口に対する柔軟な発想と取り組みは、移住者と漁業者を産み出しているそうです。
〇株式会社CULTA(沼津市西野)
沼津市西野にあるAOI-PARC内に在る、(株)CULTAでは、東京大学初の農業スタートアップ企業で、次世代栽培装置を活用して、ジャパンクオリティを保持したいちごの高速育成技術の体系化に向けた研究開発を行っていました。
更に日本の温暖化に対応できるいちごの新種開発と通年でいちごの収穫を可能とする海外での圃場整備を同時に行っていました。
品種から生産管理・販売まで、一気通貫で「品質保証」することが重要で、種を売らずに農作物を売ることが農家が儲かる仕組みだということでした。
〇富士工業技術支援センター(富士市大渕)
植物由来の次世代素材で、木材から化学的・機械的処理により取り出したナノサイズの繊維状物質で、軽さ・強度・耐膨張性など様々な点で環境負荷が少ない『CNF(セルロース・ナノ・ファイバー)』の技術的中核機関として令和元年に開設した「ふじのくにCNF研究開発センター」では、企業と連携して複合材や用途の開発に取り組んでいました。
目標としては、CNF製品が自動車の内・外装部品に採用されること。そのためには耐衝撃性が課題だということでした。
是非、静岡県のこの地から世界で使用される新製品を産み出していただきたいです。
この度の一泊二日での産業員会県内視察はとても過密なスケジュールでしたが、静岡県の産業における大きな可能性を垣間見ることができました。
業種は違くても、成功事例から学べることや活かせることは沢山あるかと思います。
様々な業界を広く、深く知ることができる自分の立場において、お役に立てる仕事の一つとして、異業種間の情報交流ができる「橋渡し」だと強く感じました。